朝霞/武蔵浦和/戸田/赤羽で空手道場を運営している道場長 岩田です。道場長ブログをご覧下さり、ありがとうございます。
雨上がり公園で、1歳ちょっとくらいのヨチヨチ歩きの男の子が両親と歩いていました。ふと水たまりの前で水たまりを覗き込み、ピチャピチャっと中に入り、じっと下を見たあと、ちょこんと水たまりの中にお尻をつけて座りました。そして.不思議そうな顔で両手で泥水をピチャピチャと触っていました。
ご両親は「あーーー」っと言ったものの、笑いながら「着替え持ってきた?」と話しながら、水溜りで遊ぶ子供を、隣でニコニコ見つめていました。
僕は、とても素敵なものを見たなーと、心が温かくなりました。ついついこちらも笑顔になりながら、その横を通り過ぎました。
あのヨチヨチ歩きの子供は、水たまりを見て「なんだ?」と思ったに違いありません。今まで歩いていた道と様子が違う、キラッとしていて空が写っている、覗いている子供自身も写ったかもしれません。とにかく「なんだろう?」と不思議に思って座り込んだ。お尻が水に濡れて「ジトーっと冷たい」という感覚が伝わったはずです。そして手で触れてみて、水や泥の触り心地を体験して、「面白い」と思ったか、「冷たい」と思ったか「気持ち悪い」と思ったか、はたまた「何なんだろう?」と疑問のままだったか、それはわかりませんが、とにかく好奇心にかられ、体感し、いろいろなことを感じていたはずです。
その瞬間瞬間、脳の中でいくつもの神経回路がすごいスピードて組み上がり、広がっているに違いありません。この神経回路が構築が、その後の発達の土台となります。幼少期に子供が何かに集中している時は絶対に邪魔をしてはいけないと言われる理由はこれだなと思いました。さらに、泥んこで遊ぶ子供を、止めることなく笑顔で見守っていたご両親の姿がとても素敵でした。水たまりの中で遊ばれてしまったら、そのあと着替えさせて、汚れた靴も服も、泥汚れを落として洗濯するのも大変でしょう。でも自分達の手間よりも、子どもの好奇心を優先して、隣で楽しそうに子どもを見つめていました。
すれ違うわずかな時間でしたが、一人の子どもの未来の可能性の無限の広がりを感じて、良い一日のスタートになりました。
コロナのときには、外遊びも減り、あれもダメこれもダメ、何でも消毒これも消毒。
全員マスクで表情もわからず、本来好奇心に溢れ、何でも触りたがり、意味もなく駆け回るのが仕事の幼い子供たちには我慢を強いる数年だったと思います。
道場でも、元気いっぱいの声が消え、仕方がないとはいえ淋しいものでした。
今、道場で、元気いっぱい声を出して体を動かす子供たちをみると、こうした当たり前が当たり前でなくなってしまうこ
とは意外と簡単にやってきてしまったりするわけで、日常のちょっとしたことにも感謝していかないとならないなと改めて思いました。
50年以上児童精神科医として子供達と関わってきた佐々木正美氏は「子どもの心の育て方」の中で、教育も建物も、一番大切のは土台だと言っています。
そしてその土台は3歳くらいまでに作られると。幼稚園に入る前には土台はできあがるわけです。たくさんの愛情を受けて、自分の価値を信じることができるというのが絶対的に必要だと言います。
その後は子供の自然な発達を、怪我をしそうだから、危ないから、汚いから、勉強の約にたたないから……などと禁止するのではなく、子供の伸びていく枝を盆栽の松のように無理に歪めることなく、親は太陽や水や肥料となって子供が求めるままに与え見守ってあげるのがよいと。
なみに、植物に欠かせない三大要素は「窒素」「リン酸」「カリウム」です。「窒素」は葉や茎の成長を促し、「リン酸」は根や種子や果実の発達を促し、カリウムは植物を丈夫にし、病気や寒さへの抵抗力を高めるそうです。
僕も微力ながら、カリウム的なお手伝いはできるかなと思(うーん)います。
道場で子供達と稽古を通じて強い心と身体作りの一端を担えるよう、僕も精進し続けたいと思います