12月号
最近色の本を読みました。
僕が小学生の時にアメリカ土産で「64色クレヨン」をもらい、普段使う12色クーピーに比べて同じ赤や青でもいろんな色があることに感動したものですが、今や何百と種類があるのですね。
色にも歴史があり、僕が好きな色の一つである赤は、日本が日本となる前から存在していた最古の色です。
原始民族が色を使う目的は、「病気や敵から身を守る」「仲間や階級など識別のため」の2つ、これは世界共通とのこと。日本では弥生時代からすでに赤や青の染め物がされていました。
古事記や日本書記には白、黒、紅、赤、丹、青の6種類の色名が記されています。
その後、時代と共に色は増えていきます。
色の中でも「和の色」は、西洋のようにクリアで発色よい色と違い、渋さが加わって粋なんです。名前もこじゃれてます!
僕の勝手な感覚ですが、和の色名で表せば、普段締めている空手帯の青は(はなだ色)、黄色は中黄(ちゅうき)、黄緑は若菜(わかな)、緑は薩摩納戸(さつまなんど)、茶は鳶色(とびいろ)、そして黒はびん榔子黒(びんろうじぐろ)となるのですが、プロが見たら全然違うかも…同じ色でも微妙に少しずつ違いながら何種類も存在しています。
道場では、白→オレンジ→えんじ→水色→青→黄色→紫→黄緑→緑→茶→黒 と帯の色が変化していきます。
白が初めで最後が黒、その手前が茶というのは流派問わず共通だと思います。
聖徳太子が考えた「冠位十二階」では黒は一番下のランクです。濃淡つけて各二色ずつ黒→白→黄→赤→青→紫の12色。上位の紫がどんどんどんどん濃くなり、ほとんど黒に見える濃すぎる紫が平安時代になって位の高い者が着る色になります。
戦国時代になると武士の間で黒紋付きが流行し黒が強さの象徴として人気になります。ちなみに黒にも「墨」「深黒」「漆黒」「桃尻」など種類があり、その中で戦国時代に最高級の黒が先ほどの「びん榔子黒」です。
空手帯の色についてですが、
・白は無邪気でまだ何も染まっていないということで物事のスタートには相応しい。
・黒は何物にも染まらない強い意志ということで締めには相応しい。
・茶は土の色で土台ができてくるということで黒の手前に相応しい。
更に僕の記憶では青は水のように流れるような柔軟な動きが出来てくるころ、緑は山や森の癒やしのイメージで精神的にも成長し穏やかになる……ということだったと思います。その他はまったく記憶にないので、カラーセラピーの本を見てみました。
・オレンジは陽の光の元気でポジティブなチャレンジの色。元気いっぱい楽しく稽古をして欲しいですね。
・黄色が注意喚起…成長してきて少し緩んだ気を引き締めて、改めて自分をみつめて頑張っていこうというところでしょうか。
・面白いのは紫。感性の色。紫を見て「上品で神秘的」と感じたら今の自分はプラス思考、逆に「下品で卑しい」と感じたら今の自分はマイナス思考だそうです。「高貴と下品」「神秘と不安」が交錯する色。確かに技術だけでなく、感性も大切です。
・黄緑は新芽のイメージ。希望を表し心の回復を促す色。
このように見ていくと、帯の流れも面白いです。
白い無限の可能性から(白帯)→
陽の光のように明るく元気に楽しく稽古をして(緋色、エンジ)→
水のように流れるような動きを習得していく(水色帯、青帯)→
しかし油断は禁物、信号の黄色のように気を引き締めて稽古を続け(黄帯)→
感性を目覚めさせ自分の心とも向き合っていく(紫帯)→
改めて春の新芽のようにまだまだ自分は伸びるという希望を胸に稽古をしていくうちに(黄緑帯)→
新芽は育ち木になり森になり、他人をも癒やすような精神的なゆとりが持てるようになる(緑帯)→
さらには木々の土台となる大地のように安定感を持ってどっしりと構え(茶帯)→
そして最後に何事にも染まらぬ強い意志強い心の人格者となる!(黒帯)
…………と、このような流れになるのでしょうか。そうなれるように、帯を締めるときにその意味を意識して、その事を伝達、より良い空手道場を目指して行きたいと思います。
11月号
先日の事。
「パラパラパラパラっ」と小雨のような音が聞こえたので「雨かな?」と外をのぞくと木の葉が風に揺れて散っていく音でした。静かな夜にパラパラパラと音をふるわせながらヒラヒラ散っていく木の葉に秋を感じて物悲しい気持ちになるのと同時に、「この風流な事実に気づく感受性を持つようになった自分」に感動しました。
さて話は変わりまして、ノーベル文学賞にボブデュラン氏が決定しました。ぼくはボブデュラン氏の歌は聞いたことがなく、ガロの「学生街の喫茶店」の中の「片隅で聴いていた♪ボブデュラン♪」という歌詞でかろうじて名前だけ知っていました。この曲も僕が産まれる前ですが、たぶん親の影響で耳にしたのだと思います。
そういえば最近の若者に80年代の歌が人気だとか!先日電車で隣になった男子高校生のイヤホンから曲が少し漏れて聞こえてきたのですが、なんと「斉藤由貴」でした。
しかも「卒業」などの僕もうっすらわかる曲に次いで流れたのは、僕には全くわからない「さよならにんじんポテト~♪」という歌詞……なぜ知ってる?!と驚きましたが、考えてみればこの高校生の親はたぶん僕と同年代。80年代アイドル全盛期に青春をすごしたはず。きっと親が斉藤由貴ファンで、「カセットテープアルバム」を擦り切れるほど聴いていたに違いない!親と関係が良好だからこそ、この少年が斉藤由貴を聴くようになったのだと思うと心がほっこりしました。高校生のセレクトはその後も渋く、中森明菜へ。音漏れはトラブルの原因にもなりますから良いことではありませんが、この時はあまりに懐かしく、電車に乗っている間「イントロ・ドン」の気分でした。いや~楽しかったです!
あっという間に今年もあと2ヶ月。時の流れは早い!無駄にしてはいられません。懐メロにのせて自主トレに励みたいと思います。
10月号
ある日僕の目はにテレビ欄に釘付けになりました。
「法医学ファイル。女医の歯型とそうめんのゆで汁が事件の謎を解くっ!」
………なんだっ?なんだっ?!あまりに事件の想像が何もできず、思いつかな過ぎて脳が動きを止めたようで、頭が一瞬無になりました。
気になったので、他にも、サスペンスドラマの不思議なラテ欄を探してみました。
「たこ焼きで病気を治す薮医者が大病院の医療ミスを暴く」
「北国のお雑煮と銃弾が無実の証拠に」
「フードライター殺人事件、残された乳酸菌の秘密」
食とサスペンスは相性が良いのでしょうか?ほとんどテレビをみない僕なので、昨今のサスペンス事情がまったく飲み込めませんが、僕のサスペンスのイメージは「時刻表トリック」や「温泉」、「崖」といったものだったので、「食」という新勢力に非常に驚きました。
さらに、ラテ欄のパンチ力に感動しました。わずか20~30文字の中で見てみよう!という気にさせる難しさ。実際ストーリーはさっぱり浮かびませんが、かなり気にはなりました。
思い返せば30年前、水曜スペシャル川口浩探検隊で、
「驚異!幻の魔獣“パラナーゴ”をスリランカ奥地密林に追え!」
「恐怖の人食いワニ!オーストラリア魔の河に死神ブラックポロサスを追え!」
というような文字に「おおっ(‘◇’)ゞ」とワクワクした時代がありました。
カメラマンと照明さんの後から川口隊長が切り込んだっていいんです!「隊長、切り込んでないよね?」と疑問を感じる必要もないのです。結局、最後は何もなくてもいいんです!
子供は純粋に、大人はあのわかりながらもガツンと大げさに演出を施すヤラセ感が大変面白かったのです。
今と違って大らかな時代でした。今は飲み物のミルクにまで「特定アレルギー食品 乳 」と書かれるようになってしまいました。ミルクだから当たり前だが、こんな当たり前なことでも表示しないとならないとは…日本人の考える力を奪っていく陰謀ではないかと疑ってます。
考える力を養うために、手帳に「ラテ欄風 日記」でもつけようか試案中。
「九月二十四日“大威震五連制覇”に突入 卍丸、これが赤羽最終死闘だ」
どんな内容がわかったあなたは素晴らしい!
では、今月も頑張って稽古に励んで行きましょう!
9月号
オリンピックが終わりました。感動の嵐でした。日本強かったですね。
僕が子供の頃の記憶ですから、30年くらい前のオリンピックだと思いますが、選手入場の時、日本はビシッと整列して行進して入ってきました。欧米の選手はとても自由で楽しそうに入ってきたのに、日本は列を乱さず無駄話もせずに入場してきたのが何だか不思議で強く印象に残っています。
あの頃は根性第一の時代。ガンガンウサギ飛びをし、水を飲ませず炎天下を走らせ、体罰も今ほど問題になりませんでした。メンタルトレーニングなどという言葉もきかれませんでした。あれから30年様々な理論に基づいたトレーニングが確立され、メンタルの大切にも気づきました。日本人の食べ物も変わり体格も変わりました。僕が小学生の頃、水泳の自由形や陸上のリレーでメダルがとれるなんて全く思っていませんでしたが、今の子供達は「日本人は○○に不利」というようなマイナスの概念無く、育つことができます。
可能性の上限を自分で線引きしないのは絶対大切です。
これからの世代がさらに楽しみです。さらに四年後のオリンピックでは空手の楽しさに多くの人が気付いてくれることでしょう[?]
ところで最近はめっきり朝晩は秋らしくなりました。
秋とは全く関係ありませんが、「貧乏ゆすり」について最近驚いたことが。
小さい頃から親に「貧乏ゆすりは貧乏になる」と聞かされてきました。なんとなく小刻みにカタカタカタカタする様子は、金持ちがドッシリと座っている様とは正反対ですからやはり貧乏くさいイメージがあるので、特に由来を気にしたことがないまま納得していました。
先日友人に
「貧乏ゆすりは貧乏になるからやめた方が良いんじぇね?」
と言ったところ、
「貧乏ゆすりは借金取りが金をゆすり取るときの様子からきてるんだよ、「貧乏をゆする」んだから、つまり貸す側だ。」
とブルジョワ真っ青の言葉で返されました。
なんの疑問もなく小さい時から信じていた事柄と逆の説をきかされたので、大変驚きました。
「貧乏をゆする」→「貧乏ゆすり」という言葉の響きがシックリきたので説得力がありましたが、そんな単純な語源か?とも疑問を持ちました。
で、調べてみましたら諸説ありました。
貧乏人が寒さに震えている様子。高利貸しが取り立ての時に膝を揺する様子。貧乏人が暇なくせかせかしている様子。江戸時代に膝を揺すると貧乏神がくると言われたから。等々いろいろありました。まあいずれにしてもイメージは良くないです。
ちなみに外国人も貧乏ゆすりをするそうですが「貧乏ゆすり」のような言葉はなく、日本のように貧乏になるとは言われないそうです。ただ、嫌がられるのは万国共通みたいです。
最近では血行促進効果があるということで、良い面も言われてはいます。
そこで今回、僕は「貧乏ゆすり」の新たな語源を提唱したいと思います!
エコノミークラス症候群
エコノミークラスといえば「狭い座席」です。狭い空間に長時間同じ姿勢でいる事が「エコノミークラス症候群」と呼ばれる血行障害を引き起こすとされています。
セレブ層が占領するビジネスクラス以上の座席からすると○○人シートですから、僕のようなエコノミークラス愛用者が血行障害を予防するために「カタカタ」と腓腹筋を動かしている様をもって「貧乏ゆすり」と呼ぶ(笑)
これはこれで以外にしっくりとくる(笑)どなたかウィキペディアに推薦して下さい。
もっともビジネスクラス以上の席や車内でも起こり得るとの事で「旅行者血栓症」ともよばれているそうです。
さあ9月、スポーツの秋です!熱い稽古でストレスを吹き飛ばしていきましょう!!
8月号
先月気になったプラハ城を図書館に行って調べてみました。
あの西洋の城を機械のない時代にどのように造られたのか…しかし、素人に理解できる易しい書物がなく、難しすぎてさっぱりわかりませんでした。どなたか詳しい方がいたら教えてください。専門用語の羅列で思考が止まりました。子供にもわかる城の造り方の絵本がないかなあ…
観光地として有名なチェコのプラハ城は、聖ヴィート大聖堂を中心にロジュンベルク宮殿や聖イジー教会などから成る王宮であり、闘いを前提とした城郭的な色彩は殆どないらしい。改めて写真で見ましたが本当に美しいですね。完成までに何世紀もかかった訳もわかりました。木造から石造へ変化した「ロマネスク様式」、より薄い壁より高い天井より大きな窓で繊細な印象の「ゴシック様式」、端正で豪華絢爛な「ルネッサンス様式」と建築様式が変わるごとにそれを取り入れ増築しているので、1000年もの建築の歴史を一度に堪能出来るそう。
飛行機が苦手な僕ですが一生のうち一度は実際に見ておきたいと思いました。
ちなみに、プラハ城が築城された9世紀末、日本は平安時代です。貴族達が寝殿造の広い邸宅に住みはじめた頃です。11世紀始めには平等院鳳凰堂が完成、12世紀末から13世紀頭には東大寺南大門が再建され運慶快慶により金剛力士像が作られました。プラハ城が最盛期を迎えた14世紀は鎌倉から室町時代へ移り変わるころです。足利家が栄華を極めていた頃でしょうか。金閣寺などが建てられた頃です。プラハ城内の宮殿が建てられた頃には日本で信長が安土城を築きました。戦争の影響でプラハの大聖堂が最終的に完成したのは20世紀に入ってからです。明治神宮が建てられたのは20世紀前半でした。
既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、歴史をざっくりと比較するだけでも充分に面白い。
時代で比較してみると、平安時代から現代までの建築が、乱れることなく一カ所に見事に調和しているなんて素晴らしい。何度も侵略を受けながら1000年の街並みが美しく保存されているなんて奇跡です。
平安時代の貴族の屋敷から平等院や金色堂、東大寺から荘園、武家屋敷、城に日本庭園…これらが調和して存在していたら日本にも「建築博物館」と呼ばれる都市があったかもしれないです。
あちこちで再開発が進みますが、1000年後世界からみて日本が美しい街になっていることを祈ります。
壊すのは簡単ですが継承していくのは難しい。日本の文化や伝統は後世にきちんと残していきたいものです。僕自身も空手というものを通じて、日本の武士道を伝えていくことに微力ながら全力を尽くしたいと思います!
7月号
白河小峰城の石垣修復工事を実見して感動しました!
東日本大震災で崩れた石垣を元に戻す作業なのですが、修復開始当時は小峰城石垣の石の順番がわかるようなはっきりした写真がなく、石垣の写真を呼び掛けて集めるところからスタートしていました。
一年かけて石垣の様子がわかる写真を手に入れた後、次の作業は、崩れ落ちた石垣の石を測定し写真と照らし合わせて、どの石がどの場所に積まれていたかを特定する作業。その石の数なんと7000個!その7000もの石の表面の形を測定し、写真と照らし合わせて通し番号を振り、さらに砕け散ってしまった石に関しては、同じ材質な石を切り出し、表面も奥行きも全て同じ形を計算して、昔と同じようにトンカチを使って手作業で削っていました。昔は機械もなく人の手によりあのような美しい石垣が組み上げられ、長きに渡り城を支え続けていると思うと、先人の知恵と努力に頭が下がります。
ベテランの石工の指示で石を積み上げていくのですが、一センチずれても元通りにならなくなるため、バールで微調整をしながら、一つ一つ石を積み上げていくのです。このプロ意識の高い職人さん達の仕事の様子を見て、思わず姿勢を正してしまいました。。惚れました!
調査に四年、完全復旧まではさらに四年ということですが、すでに一部は復興されています。
さて、ここでふと気になったですが、西洋の城も当然昔は手作業なわけです。いったいどうやって建てているのか、何年くらいかかっているのか?西洋で最古の城は「プラハ城」ということで、プラハ城をググってみて驚きました。なんと、完成まで6世紀!600年??見間違いではないはず、600年…想像していなかった数字で、かなり気になったので、プラハ城に関してはもう少し調べたいと思います。
時間の流れは雄大で、それに比べたら僕に与えられてる時間は目に見えぬ塵よりも僅かなもの。そんな小さな小さな時間ですら、頑張り抜けない人生なんて情けない!プライドを持ってコツコツ頑張った仕事の積み重ねが数年後数十年に形を作り感動をもたらすのです。自分も日々手を抜かず小峰城の石垣のように人生を積み上げて形にしていきたいと思います。
平成28年6月号
少し前に、テレビでこの春の新しいスイーツを紹介していました。
「マシュマロやナッツをホワイトチョコで固めてます~!美味しい~!新しい~!!」
という若い女性リポーターの言葉に、僕は
「違うっ!」
と叫んでおりました。
ご存知の方も多いと思いますが、15年くらい前でしょうか、ショコラティエエリカというお店のマシュマロやクルミをホワイトチョコで固めた「マ・ボンヌ」というお菓子が大人気となりました。
似たスイーツが、15年経って新しいスイーツとして紹介されていました。流行はグルグル回ると言われますが本当ですね。そう言えば、数ヶ月前になりますが、女子大生らしき子がMA1ジャケットを着ていたので、つい「かっこいいね~!トップガンみたいだよ!」と声に出してしまったところ、その女子大生は「あ~トップガンは知らないんですけど、それ、お父さんにも言われました。」と応えて足早に去っていきました。何だか切なかったあの時を思い出しました。もしかすると「このジジイ、ナンパしてきやがった」と思われたのかも。
話は戻りまして、ショコラティエエリカというチョコレート屋さんは今も白金マダムに愛されているようで、ネットで見てみたら、「マボンヌ」も健在でした。
最近は「行列のできる○○屋さん」がたくさんありますが、その中で何年も行列ができつづけるお店はわずかです。そう考えると、何十年も人気を保ち続けるお店は素晴らしいです。
誰もが知っている有名な老舗の店だけではなく、街の寿司屋やコロッケ屋やパン屋、和菓子屋など、二代三代に渡って愛され続け人気を保ち続けるというのは、我々には想像の域を超える努力の賜物だと思います。
久しぶりに実家に帰った時に、子供の頃よく通った人気のパン屋のクリームパンや、ケーキ屋のプリンなど、懐かしの変わらぬ味に心癒されたり、また同級生が三代目として寿司屋を継いでのれんを守っていたりすると「あいつ、凄いな…」と感動します。
僕の主観ですが、こういった店は、「一発当ててやろう」とか「儲けてやろう」というギラギラした感じがありません。また媚びてくる感じもない。「とにかく何とか稼ごうっ!」という浮ついた感じは皆無で、プライドを持って一つのものをコツコツ守り続けているように思います。
さらに感じるのは「優しさ」です。
僕の頭に浮かぶ昔から人気のあるパン屋も和菓子屋もケーキ屋も、自然な味で添加物がなさそうな、素材をいかしている味です。変に飾りたてたりせず、素材の美味しさを伝えてくれています。
こう考えてみると、愛され続ける店は人間に例えても非常に魅力的です。見栄を張って飾りたてたりせず、人の喜びを自分の喜びとして毎日毎日コツコツと精進し続ける!
自分という素材そのものをしっかり磨き続けて輝きをもたせる!
素晴らしいっ!
僕が目指す人間像がそこには存在する。僕の最終形態は老舗の最中や食パンだったんだ!
ここで、「あれ?あなた、あのカラフルで派手なマカロンを愛していましたよね…」と思った方もおられるはず。
いやいや、言わせていただければ、マカロンも立派な伝統菓子です。歴史は古く、13世紀後半のイタリアまでさかのぼります。13世紀後半といえば、日本では宋から饅頭が伝わっております。
今あるあのカラフルなマカロンはフランスの菓子店「ラデュレ」で1930年に作り出されました。ちなみにラデュレの創業は1862年です。あの有名な「木村屋」の創業より前です。フランスに流れたから、カラフルで華やかでポップになったわけで、日本に流れていたら渋いマカロンだったかもしれません。産まれた土地が違うだけで、マカロンも96年前の製法を守り続ける立派な老舗の菓子なのです。
形は違っても、求められ続けるものから学ぶことは多い。まずは自分を毎日コツコツ磨いていく積み重ねです。渋いオヤジとなるか、カラフルでポップなオヤジとなるかは乞うご期待。
今月も頑張っていきましょう!
平成28年5月号
5月です。私事ですが、40になります。
40歳といえば、織田信長は室町幕府を滅ぼし、ビルゲイツはすでに世界一の金持ちになり、アントニオ猪木は伝説のハルクホーガン戦でKO負けを喫するという人生の苦境に直面していた頃です。
平安時代の寿命は30歳くらいと言われていますが、これは乳幼児の死亡率がとても高いせいとも言われていて、実際は40歳くらいと聞いたことがあります。自分を振り返ればまだまだ40歳ヒヨッコですが、昔はすでに人生を完結していたんですね。
大昔、五月は急に暑くなり始めるため、この時期に病気で命を落とす人が多く、そのため中国では厄除けに菖蒲和や蓬をつかい健康祈願をしました。この風習が奈良時代に日本に伝わり、いまの端午の節句へとつながっていきます。
鎌倉時代には厄除けの「菖蒲」が「尚武」と重なり、武士の間で人気になりました。「尚武」…我々の世界とつながってきましたね!「尚武」とは「武道、武勇を重んじる」ことです。武士にとって自分自身を守る兜や鎧は命を守る道具の象徴。ですから男の子が産まれると兜や鎧を飾って健やかな成長を祈りました。
兜といえば、そう、兜町!兜町といえば、日本を代表する金融街というイメージでした。しかし、以前とは少し変わってしまった!東京都内の金融系の上場企業本社を調べてみたら、兜町には「該当なし」…。金融業界の代名詞だと思っていたのに、金融系はどこに。淋しいことに、皆元気な会社はオシャレな街にお引っ越ししてしまったのです、野村証券さんは大手町にいらっしゃいます。日興証券さん 、大和証券さんもオシャレな街丸の内へ。ゴールドマンサックスさんは六本木、メリルリンチさんは日本橋のコレドに、モルガン
スタンレーさんはもちろん丸の内三菱ビルにいらっしゃいます。スタイリッシュな人々や才色兼備なOLさんが行き交うナウでイケてるエリアと一線を画し、兜町は昨今の嫌煙の波にも負けず煙草の煙あふれるオヤジの街となったとのこと。しかしこのオヤジの街兜町にもそのうち再開発で味のある街に生まれ変わることでしょう。
時代の波はあります。人生にも波はあります。のみこまれることもありますが、また浮上すれば良い!そのためには強い身体と強い心が大切です!
僕も人生の荒波に慌てることなく、もちろん株の流れに心まで流されることなく、「尚武の精神」をもってこれからも日々の稽古に励んでいきます。
平成28年4月号
4月です!桜が満開です。
どちらかというと遠めの高い位置からピンクの雲海のような桜を眺めるのが好きですが、「桜は下向きに咲くから下から見上げるのが美しいよ」と知人にいわれ、素直にやってみました。確かに花は下を向いて咲いているのでこれもまた非常に美しいものでした。薄いピンクが控えめで清楚で可愛らしい。
こうみえてロマンティックな僕は桜の花言葉が気になり調べてみました。初めて知りましたが、桜には驚くほど種類があり、その種類ごとに花言葉がありました。
我々が一番目にする
染井吉野は「純潔」「優れた美人」
山桜は「あなたに微笑む」「純潔」「高尚」
寒桜は「気まぐれ」
というように、なんとも男の心の琴線に響くものがならびます。
言葉を選出しているのもジジイでしょうから夢でも見ているのでしょう(笑)
ちなみに「桜の花出版」という会社から空手関係の本がよくでています。
僕の産まれた5月の誕生花はなにか急に気になり、こちらも調べてみました。5月の誕生花は紅薔薇、赤いカーネーション、八重桜、花菖蒲……なんだかたくさんありますが、このあたりは花屋さんの流通の事情でいろいろ変わるらしいです。急にロマンティックから俗世にまみれた感じがただよいますが、まあ元々人間が考えて出したものですから仕方ない。物事は表裏一体ですから、良く見なければなりません。
いろいろ調べでいるうちに、花言葉にもおだやかでないものがたくさんありました。
リンドウ…「悲しんでいるときのあなたが好き」
アイビー…「死んでも離れない」
スノードロップ…「あなたの死をのぞみます」
どうです、かなりパンチきいていませんか?花が美しいだけに背筋がゾワッとする怖さがあります。ただ、花言葉は一つではなく、それぞれの国の神話や、花の歴史によって変わってくるので、一つの花にたくさんの花言葉があるようです。ものは言いようとは言われますが
アイビーの花言葉も「死んでも離れない」といわれたら怖いが、「永久の愛」といわれたら美しく聞こえます。
スノードロップもイギリスの言い伝えでは死の象徴ですが、スコットランドの言い伝えでは幸運に恵まれるそうで、一つの花にもいろいろな顔があるようで、一つの面だけをみて決めつけてはいけないのは、全ての物事に通じることですね。
空手に関係する花はないかな~と探しましたが、唯一見つけたのが「こぶしの花」でした。白くきれいな花ですが、つぼみの形が握り拳に似ているからという説や果実が握り拳のようにゴツゴツしているからといった説があります。
花言葉は「負けん気の強さ」
こぶしの花・・・別名「田打ち桜」
素晴らしく空手向きな花ではないですか!!
拳を鍛えて美しい花を咲かせることができるように、僕も頑張って稽古に邁進していきたいと思います。
さあ、空手で自分のなかにある華を咲かせましょう!
平成28年3月号
冒頭に申し上げておきます。
「気に入らない」と感じる方も多くいるのではなかろうかと思われる内容が含まれています。特に女性には。
・・・・
先日喫茶店でコーヒーを飲んでいる時でした。
隣で可愛い女性二人が談笑していました。
注:僕は耳が良いので会話が入ってきてしまうのであり、決して聞き耳を立てて真剣に聞いていた訳ではございません。
クールビューティーなAさんが、ラブリーキュートなBさんに
「彼に動物園より水族館に連れて行ってもらいたいのに動物園ばかり連れて行かれるの」とこぼしていました。
僕「パンダやキリンを見るより魚類が見たいのかな?可愛いな」と微笑ましく思う僕の心はこの後の展開に粉々に砕かれることになります。
Aさんは続けました。「しかも~『ふれあい広場』とか連れて行かれるんですけど。別に触れ合いたいほど動物好きじゃないし。」
Bさんが応えます。「においするし、ラバとか唾飛ばしてきたりするし、毛は舞ってるし、私も苦手」
岩「・・・・・」
A「何だか知らないけど彼は、女の子はみんなウサギさんとかハムスターさんとか『可愛い~っ』って可愛がるものだと思ってるみたいで、水族館のが好きなんだけどって伝えたら、びっくりしてた」
B「あ~!それね。勘違いしちゃうのかな?あれは、『きゃ~可愛いっ!ウサギちゃんふわふわっ!』と言って小動物を可愛がる、そんな優しくて可愛い私を見てっ!というアピールだよね、たぶん皆そのあとめちゃめちゃ激しく手を洗ってるよ(笑)」
A「そうそう、一応行きたくなくても『触れ合い広場』に連れていかれたら、小動物と触れ合いますよ、可愛がりますよ!冷たい女に見られたくないし」
B「私も近所のワンチャンとか『可愛い~』って一応いうよ、言わないと優しくないみたいじゃない?でもうっかり舐められたりしたら心は鳥肌!」
僕はコーヒーを持つ手の震えを抑えるのに必死でした。これを読んでいらっしゃる皆さんは「僕の聞き耳」に震えているかもしれません。僕は心では的場浩司ばりの「まじかっ?!」を連発しておりました。
昔、散歩中に「ワンチャン可愛いっ!」と、子犬を撫でて可愛がっていたあの娘も、ペットショップで「猫ちゃん可愛いっ」とキラキラした目でのぞき込んでいたあの娘も、全て計算だったのかっ。
いや違う、断じて違うっ!!!あの時、あの娘達の目は嘘なんかついていない!動物を可愛がる優しい娘達だったんだ!
僕の過去の温かな淡い思い出達にとって、AさんとBさんの会話はさながら液体窒素…心の中で何かが冷たい湯気をあげながらシャリシャリと崩れ落ちる感じがしました。
『優しさ』は他人に向けてアピールするもので、『思いやり』は本当に心から人のためを思う清らかなものだと、誰かに言われたことがあるのをふと思い出しました。その時にはピンときませんでしたが、二人の女性の会話を耳にして、優しさと思いやりについてのその言葉が腑に落ちた瞬間でした。
ただ、計算であっても良いではないかと僕は思うのです。彼女達も彼に良く思われたくて計算するのです。誰かを陥れるための悪意ある計算の行動ではなく、誰かに好かれたくてやる計算は男性も女性も可愛らしいではないですか。人間そのくらいの心のゆとりは持つべきだっ!幸せなら手を叩くべきなのであります。計算も含め温かく見守ることのできる中年オヤジになろう!
今日は3月3日のひな祭りです。子供の健やかな成長を願う親心は何の計算もなく清らかで美しい。
もちろん僕の空手愛もこの道一筋30年、計算なし掛け値なしの空手愛です!
さあピュアな心で今月も稽古に励んでまいりましょう!
平成28年2月号
「機動戦士ガンダムの英語」を買いました。
ガンダム好きとしては、これで英語はペラペラに、完全マスターとなるはずっ!
しかし、駄目でした。
「Because he was a spoiled kid…」(シャア 坊や、だからさ…)
「I,Ramba Ral,will complete this mission with my bare hands if need be.」(ランバラル たとえ素手でも任務はやりとげる)
…いったい、いつ、どの状況で使えばよいのか…これは、もっと英語の出来る人が感情によって英単語を選びわけて使うことを学ぶような本でした。ちょっと僕には早すぎる。
まあ使えるセリフとして
「You call yourself a man!? You weakling!!」
は覚えて、いざというときに自分を奮い立たせたいと思います。これは誰のセリフか、ガンダムファンは当ててみてください。
さて、話は変わりまして、先日都内ホテルのロビーにて、60代とおぼしきマダム三人組に「写真をとっていただいてよろしいでしょうか?」と声をかけられました。「もちろんですよ~」とこたえた僕に懐かしいものが手渡されました。それは「写ルンです」!
一番最後に使ったのは…たぶん15、6年前ではないでしょうか?
もう覚えていません。いつしか写真をとるならデジカメになり、それからスマホになり、とにかく撮ったものをその場で確認出来るということに慣れてしまっていたので、「写ルンです」を手渡された僕に妙な緊張感が走りました。
・大切な思い出になるこの写真、失敗するわけにはいかない。
・三人のうち一人でも頭や体が入りきらずに写真からきれてしまうことは許されない。
・目が赤く光ることも許されない。
しかしその場で確認する術はなく、全てはマダムがカメラ屋さんにて現像し終えた時に明らかになるのです。
「ハイチーズ!」も古いと言われるので普段は「ハイチーズ」を飲み込んで「はい撮りま~す!」と言っていますが、今回は「写ルンです」のフィルムをジジッジジッと巻いた瞬間から、僕の時間は過去に遡り、満面の笑みで構えるマダムに向かい「ハイチーズ!」と声高らかに叫びました。シャッターをきると同時に、あのプラスチックのオモチャのような軽い「カッチャッ」という音、そしてあの感触。ノスタルジックな気分になりました。
それにしても、この「写ルンです」、まだ売っているのかと思ったら、一部ではかなり根強い人気があるそうです!!カメラをむけられても構えなくてよい軽~い感じが、心地よいのだとか。また昔ながらの粒子の粗さも味があって人気なのだとか。確かに今はテレビも写真もはっきり映り過ぎて、女優さんの毛穴まで見えたりすると怖くなります。一般人は少しくらいボワ~っとしたくらいが綺麗に見えるに違いない。
古き良き物は今も生き続けます。今や「写真を送る」といえばデータを送るということですが、今頃マダムの一人は写真を現像し焼き増しして、友人に手紙を付けて自宅に郵送していることでしょう。良い思い出になるようにマダム達が美しく撮れていることを祈ります。
そして一言マダム達にお礼を言いたい。
「余裕オーラ溢れる皆さんとお茶出来て光栄でした」と。
さあ、今月も稽古に勤しむとしますかね!
平成28年1月号
明けましておめでとうございます。
今年も一年よろしくお願いいたします。
お互い刺激しあい、また励まし合いながら、更に前進していきましょう。
2015年はスポーツ界の歴史を変える出来事がたくさんおこりました。スキー葛西紀明選手の最年長表彰台記録更新、体操男子団体の37年ぶり世界選手権金メダル、ラグビー日本代表の大活躍、羽生弓弦選手の世界最高得点。
昔に比べて世界で活躍できる日本人が増えてきました。
その理由のひとつとして、指導法の変化があげられると思います。僕が子供のころは、根性ありきのところがありました。水を飲むなといわれた時代でしたし、ウサギ飛びも健在、部活では失敗した部員に渇という名のビンタがお見舞されるという光景も珍しくはありませんでした。
しかしそれから20年もたつと、以前は当たり前であった練習法が逆効果であるということが多く存在していることがわかってきました。本当は才能があったのに、間違えた指導で夢を諦めた若者も多かったはずです。
我々指導者はそれだけ責任のある仕事であることを忘れずに、常に指導に関してはいろいろなアンテナをはる状態でいる事が常識。
技術だけでも、根性だけでも、理論だけでもダメです。
もちろん強くなるには本人のやる気が欠かせませんし、子供の場合はご家族の協力も欠かせません。
皆様のご協力を仰ぎながら、強く成長する喜び、勝つ喜びを知ってもらえるように全力を尽くしたいと思います。
可能性は無限です。スポーツの記録は次々塗り替えられています。可能性を信じて、決して過信はせず、感謝を忘れず謙虚に日々過ごしていきたいと思います。
プライベートでは空いた時間があればせっせと城巡りをしたいと思います。松前城、岡山城へは是非行きたい。戦国武将のパワーを浴びて、天守にて高笑いをかましながら、天下をとるイメージトレーニングをしたいと思います。
さらに僕のアンテナはスイーツネタにも敏感です。
さらに、今年はあの「ジャニスウォン」が新宿にやってきます!
いや~楽しみです!
早くあの美しい芸術的なスイーツをこの目で見たい!その前に千駄ヶ谷にいき乳製品&砂糖不使用のアイスクリームを食したいと思います。
つい最近までは、中性的な草食系男子がもてはやされておりました。しかし、ラグビー日本代表が、ラグビーの歴史のみならず、世の女性の意識も変えてくれました!
抱かれたい男性アスリート第一位に、羽生君を抜いてなんと五郎丸選手が!
きっときますっ。きますよ、男臭さがもてはやされる時代がっ!
デオドラントなんざ糞くらえ、汗臭さこそフェロモンの源泉、動けば生命の泉が湧いてくるのです!
これから我々の未来は明るいぞ!
打倒ジャニーズに向けてこれまでも、これからも。
さあ熱い稽古で自分を磨き上げて行きましょう!